「顧客は自分が欲しいものを知らない」、こう話すコンサルタント先生は多い。この手の人たちはつづけて、「知ってる? フォードはね、顧客の声を聞いていたら『車』ではなく『早い馬車』を作っていたんだよ」みたいなよく知れた逸話でドヤ顔をしてくれるんです。
でも、ちょっとまって。あなた、フォードじゃない‥‥
すこし、別のお話をさせてください。
ある女性がですね、服を選んでいたとします。その人、手に持っている少し予算オーバーのシャツで悩んでいるみたいです。
そこに謎の男が突然やってきます。そして「あなたがほんとうに欲しいのはそれではない!」なんて断言くるんです。男は続けます。「あなたがほんとうに欲しいのは、適度な寒さをしのげる布。シンプルにするとソレだけです。だからこのTシャツなんです。費用対効果を考えればコレが最適解」なんて叫びながらヨレヨレのTシャツを渡してきます。
「ぼくはね、服のプロだからね、間違いない」なんて自信満々。聞くと、男はどうも、倉庫のバイトで毎日服を見続けているそうです。
女性は「うるさい」と言って怒って帰るんですが、男はめげないどころか「う〜ん、わかってないなー。彼女は服に対するリテラシーが足りない」なんて空を見上げてため息をついてます。
なんてお話。こう書くとわかりやすく最低なんですが、身の回りに似たことが転がってませんかね。
フォードをきどって、自分のもっている知識や、経験だけで、勝手に相手を見下して「顧客より自分のほうが分かっている」と勘違いしているひといますもん。
私はその道のプロなんて言っているけれど、じつは脇道からその道をみていて見くびっているだけの人をあったことあります。あの業界のシステムをたくさんつくったから私はプロだ。あの業界のウェブサイトをたくさんつくったからあなたにマーケティングコンサルします。なんのギャグかな。
「顧客は自分が欲しいものを知らない」ってのは、確かにその通りな事も多いんでしょう。でもね、似非コンサルタントのソリューションがそれに替わるわけではないん DA・YO・NE