公開されるやいなや、あちらこちらで絶賛というか絶叫というか、とにかくすさまじい反響を生み出した記事。
糸井さんがバルミューダ株式会社の寺尾さんとお話している記事。
なにがどうすごいのか? なんてのはこの記事を読んで欲しい。
ライター&編集者で編集者の古賀さんのあふれんばかりの愛をこめて解説してくれてる。
で、今日の本題はこの記事がいかにスゴいかではなくて、記事で出てくる「あとからつくったキレイなお話」です。
元の記事では、バルミューダの寺尾さんがトースターをつくった理由として、「人は『もの』ではなく『体験』を買っている。そして、『体験』を買ってもらうには『食』にかかわらなければならない」という最高にキレイなあとからつくったお話をしてくれます。
すごい製品をつくる立派な社長さんでなくても、成功した理由を、あとからつくったキレイなお話として、気持ちよく話すことってあるじゃないですか。居酒屋で「あの広告がすごい反応だったのってさ、いままでの経験からこうだろうなって思ってたことを実践してみたんだよね」なんて話はよくあるじゃないですか。でも、だいたいあとからつくったお話だよね。オレ総研によると、居酒屋で話している成功した理由の9割くらいはあとからつくったお話だからね。
わたしも、よくやってしまいますよ。だって、気持ちいいじゃないですか。成功した理由が理路整然としていたら。
あとからつくったキレイなお話がコワイのは、いつのまにか自分をだましてしまうことなんですよね。あとからつくったお話って、ウンウンと頭をひねり出して、それっぽいのをどうにかひねり出すというわけじゃなくて、なぜか立て板に水でスルスルって出てくることが多いじゃないですか。
これがあぶない。無意識にスムーズにでてくるから本当だったみたいなんですよ。
だからね、自分もだまされちゃうんですよ。スルスルでてきたし、たくさん話してもみんないい反応してくれるわで、いつのまにか、最初からほんとうに考えていたって自分が信じちゃう。コワイコワイ。
こうなると、「成功は失敗の母」にまっしぐら。そら、失敗するよね。だって、その成功理由はほんものじゃないから。嘘もんの理由なのに、それをいろいろなところに応用しようとしちゃうってねぇ。
なにかがね、うまくいったからって、べつに正当な理由をつけなくてもいいよ。だって、成功するために努力した過程で、いろいろところに筋肉がついているんだもの。それを信じてやりたいよね。自分で自分に嘘をつくんじゃなくてさ。